さあハンコ、クレカ、免許証、パスポート、マイナンバーカードを消失させよう! ブロックチェーンでカタがつく

ハンコとは日本社会が採用する最もセキュアではない認証方法です。同時にこのハンコが「権威」を帯びていて、それを数珠つなぎにすることで、オーソライゼーションの機能を果たしたりします。しかし、皆さんご存知の通り、印鑑はカンタンに偽造が可能です。

セキュリティが脆弱なハンコ

物理的な認証ツール(ハンコ、免許証、パスポート、マイナンバーカード等)は偽造が可能です。これを最も明確に示すのが、積水ハウスから63億円をだまし取った「地面師」の手口です。このケースでは印鑑登録証明書やパスポートなどが偽造されています。3Dプリンターを使って実印そっくりのものを製作し、偽の実印を使って改印し、新たな印鑑証明を作り直す等の手口が明らかになっています。本物と見分けがつかないほど精巧な書類を偽造することも可能です。物理的なコピーですので、プロでも見抜くことが難しいのです。

この種の「ベリファイ(認証すること)」を人間の「眼」に委ねるのは極めて危険です。この危険な手段が日本の企業・官公庁、各種の取引のなかで、依然としてメインストリームです。つまり危険で、非合理的な手段を積極的に採用している状態なのです。あなたの財布を膨らましている各所のアイデンティカードは時限爆弾のようなものでしょう。

特権的なアイデンティティ管理者の誕生

今日、クレジットカード会社やFacebookなどのソーシャルネットワークは、アイデンティティの主要なゲートキーパーとして機能しています。しかし、Bitcoinのような暗号化基盤のデジタルレジャーシステムであるBlockchain技術を使用することで、数多くの起業家がこの古くからのインターネットの問題を解決する新しいソリューションを設計しています。

集中型データベースはあなたのアイデンティティの単一障害点(単一箇所が働かないと、システム全体が障害となるような箇所を指す)です。あるいはハニーポット。これは元々は蜜の壺の意で、不正アクセスを受けることに価値を持つシステムのことを指します。

Facebookはあなたのアイデンティティにデバイスを横断した行動データを紐付け、デジタル広告をつくることにより、あなたのパーソナルデータをマネタイズする事に成功しているのです。2016年通年の収益は276億ドルであり、そのほとんどが広告によります。

運転免許証は最もポピュラーなIDですが、それを取得するのに数十万円を要します。パスポートの取得にも同様のコストが求められます。その証明書を発給する主体がもつ独特な論理に付き合わされるハメになり、彼らの不完全なサービスへの対価を負担することになります。

発展途上国にはIDを取得していない人間がたくさんいます。IDを持たないということは種々の社会サービスを受けられないことを意味しますし、そもそもこの世界に「存在しない人間」として存在することになります。ネクストイレブンよりも開発が進んでいない国では、きれいな政府を構築するに時間がかかりますし、きれいな政府ができるかという保証もありません。

ブロックチェーン、信用ではなく確実な認証

ブロックチェーンには大きなデータはありません。1つのビジネスで管理されるサーバー群に依存するのではなく、ブロックチェーンベースのデータを広範囲のネットワークに分散させることができます。このアーキテクチャは通常のユーザーに自分のデータの所有権を与えることができます。

https://axion.zone/entry/digital-identity/

あなたがさまざまな認証を求められたときに、ブロックチェーンで管理されたアイデンティティを提示します。例えば、お酒やタバコを買う場合は20歳以上であることを証明すればいいので、20歳以上である情報だけをブロックチェーンから呼び起こして示せばいい。運転中に自動車免許証の提示が必要な場合も、その人が免許を保持しているかどうかを示せればいい。

相互運用性を提供するために、分散化された識別子(Identifier)と検証可能な主張の標準が開発されています。ブロックチェーンベースのIDシステムのための標準を構築する機関「Decentralized Identity Foundation (DIF)」が2017年の初めに設立しています。

IBM、MicrosoftのようなエンタープライズITの巨人、Accenture、IDEOのようなコンサルティングファーム、Civic、Gemのようなスタートアップ、uPortやSovrinのようなオープンソースプロジェクト等が参画しています。

Via Decentralized Identity Foundation (DIF)

「自己主権アイデンティティ」の確立

ブロックチェーンの採用が意味するのは、個人がセルフ・ソブリン(self sovereign:自己主権)を獲得することです。セルフ・ソブリンとは「個人があらゆるものに対して独立し個人としての主権をもつこと」を意味しています。国家主権の人間版だと考えてください。

セルフ・ソブリン・アイデンティティ(self-sovereign identity)は、私たちが自分のアイデンティティを完全にコントロールしているということです。彼らは中央集権的な権威に頼っていないので、自己主権的なアイデンティティ・システムは分権化され、アイデンティティが現実の生活の中で機能するように反映されます。

セルフ・ソブリン・アイデンティティは一般の人々が知らない間に急速な変化を遂げています。最終的には、これらのシステムは人間の尊厳を促進し、自決のための基本的な人間の欲求を保護すべきでしょう。

結論:個人の自由か共同体の”正義”か

20世紀に成立した法は、個人の主権、自由を保証する内容になっています。しかし、実際にはこの法に基づいて物事を実行する国家、あるいは特権的な企業があなたがあなたであることを証明する権利を侵害しています。ブロックチェーンの採用はいわゆる「民主主義」と表現されるものの根本的な性質を実現することにつながるのです。アイデンティティを巡る議論は、自己決定(セルフデターミネーション)を重視する「リバタリアン」と、ジョン・ロールズに代表される共同体主義(コミュニタリアン)の政治哲学的議論に修練します。「これからの「正義」の話をしよう」を読み返すときかもしれません。

参照

How blockchain makes self-sovereign identities possible

 


Also published on Medium.

Takushi Yoshida

起業家&デジタルビジネスアナリスト。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。ジャカルタで政治経済記者。APEC、ASEAN首脳会議でTPP、ASEAN+3などの地域経済統合をリサーチ。帰国後、米デジタルマーケティングメディアDIGIDAY[日本版]立上げ参画。2017年10月テックビジネス戦略メディアAxionを創業。

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