インテル入ってる? 最大手のAIチップ追走劇

予測

インテルがAIチップへのキャッチアップを開始した。この記事で指摘したように戦国時代を迎えるAIチップ市場のなかで、インテルはできるだけのことはしている。しかし、先行者利益をはねのけるためには市場シェアや豊富なキャッシュだけでは足りない。CPUというキャッシュカウを抱えながら、AIという地殻変動をどれだけ本気で受け止められるか。


論拠

半導体大手インテルはAIチップ市場で後発だ。インテルのCPUは一部の見積もりでは、データセンター向けCPUの市場シェアは96%にのぼるが、AIアクセラレータではNVIDIAやARMのGPUに分があり、これらの企業のチップに対する需要は急増している。 Nvidiaの売上高は前年比56%増である。インテルの売上規模は格段に大きいが、9%程度の成長に留まる。

Nvidia CEOのJen-Hsun Huangによると、過去数年間のCPUスケーリングではトランジスタ数が大幅に増加したが、パフォーマンスの向上はほとんどなかった。対照的に、GPUは同じ期間で急速に高速化した。 Huangはこれを「Hyper Moore’s Law」と呼んでおり、CPUの並列性があまり良くないためGPUが最終的にそれらに取って代わりそうだと主張する。 DigiTimesによると、NVIDIAはAIアプリケーション向けに特別に設計されたTesla 100 HGX-1アクセラレータを開発するために、Huawei、Inspur、Lenovoと提携している。

ムーアの法則はCPUの性能が18-24ヶ月ごとに2倍になるというルールとして扱われているが、そうではなく、ムーアの法則は性能ではなくトランジスタ数が倍増すると予測するものだ。上記の性能面で言うならば、Huangの主張は正しいと考えるのが自然だ。

この流れは抗いがたい。Googleもクラウドコンピューティング事業を強化するためにTensor Processing Unit(TPU)という独自のチップを設計した。英国に本拠を置くGraphcoreのような新会社も、AI半導体の開発を急いでいる。

インテルはパソコンおよびデータセンター市場では支配的な地位を占めているものの、ARM設計の半導体が優位に立つ分野では苦戦している。AIチップの流れには逆らいようがない。ここから孫正義が最初にARMを買収し、その後にNVIDIAに出資したわけがわかるだろう。

逆襲は成功するか

インテルは昨年から以下のような動きを見せている。

  • 買収攻勢。同社は2016年、ディープラーニング分野のスタートアップNervana Systemsと、コンピューターヴィジョン向けのシステム・オン・チップ(SoC)を手がけるMovidiusを買収した。17年3月には自動運転向けのシステムやセンサーを開発するイスラエル企業Mobileyeを傘下に収めている。
  • Mobileyeの買収はNVIDIAの自動走行車向け製品群に対抗する目的が色濃い。自動運転車はディープラーニング、センサーフュージョン、サラウンド・ビジョンを組み合わせる高度なコンピューティング環境を必要とする。車両周辺で何が起こっているのかをリアルタイムで理解し、マップ上に正確に位置を決め、安全な進路を計画しないといけないからだ。Mobileyeは大手自動車メーカーとすでに協業しており、今後は協業網を拡大できるかが鍵になりそうだ。日本勢も東芝、トヨタ、デンソーを結成したが、80年台の日本株式会社的な座組は不安が感じられる。
  • Nervana Neural Network Processor(NNP)は昨年のディープラーニングスタートアップのNervana Systemsの買収がもたらした果実。インテルはこのチップの性能に関してはまったく数字を外に出していない。

Via Intel

  • FacebookともAIチップ開発に関して協働。インテルは第1世代のAIチップをFacebookのような限られたパートナーだけが利用できるようにし、第2世代バージョンのためのフィードバックを得ようとしている。Facebookは深層学習のパイオニアのYann LeCunが率いる研究部門に加え、最新のAI技術をソーシャルネットワークに広く適用することで、AIの重要なプレーヤーである。
  • 新型チップ「Loihi」には、脳のニューロンとシナプスの動きを模した素子が組み込まれている。「ニューロモーフィック・チップ」と呼ばれるこの種のチップは近年注目を浴びており、従来型のチップの限界を超えることが期待されている。

さて、インテルの賭けはどれだけのリターンを生むだろうか。イノベーションのジレンマは今回も起きるのだろうか。そしてインテルよりも遅れてきたのが日本だ。日本株式会社方式はワークしていない。何しろ遅い。

Eyecatch is Loihi by Intel

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