今年は分散型取引所(DEX)が台頭するかの考察💡

コインチェックがクラッキングされ、XEM5.4億が抜き出されました。暗号通貨史上最大のクラッキングです。前回はクイックな所感を話してみました。今回は「今年、分散型取引所(DEX)が来るか」について考察してみましょう。


集中型取引所では、安全性が運営者頼みになります。これは銀行と同じです。自分自身のコールドウォレットに保管することが推奨されていますが、実際には多くの人がコインを取引所のウォレットに入れたままにしています。

動画解説はこちらからです。

https://youtu.be/YZRrxx5Qq2g
では、まず中央集権型取引所の課題を見てみましょう。

中央集権型取引所の課題

最も大きな課題はカウンターパーティリスク。

取引相手が債務不履行に陥ったりすることで取引が完結しないリスクのことを指します。ビットコインは個人でお金を管理し、銀行機能を自分自身で完結することができますし、その仕組を目指して開発されてきた経緯があります。カウンターパーティリスクを取り除いています。

取引所に保管されているビットコインのプライベートキーは取引所によって管理されており、ユーザーの管理下にはないという意味になります。ビットコインの所有権は秘密鍵というパスワードのようなものに紐付けられており、ブロックチェーン上に記録されているビットコインは、この秘密鍵がなければ移動させることができません。

コインチェックの一件は、サーバーで秘密鍵を管理するホットウォレットに保管していたことが課題がネックです。業界ではオフラインのコールドウォレットが推奨されていました。

問題は、取引所ユーザーは自分たちが管理するはずの秘密鍵の管理方法を取引所に取り上げられていることです。今回のコインチェックでもそうですが、クラッキングされた後は、取引所が保障してくれればいつか返ってくるかもしれませんが、取引所のさじ加減なのです。

もちろん、過失が取引所にあるのに補償しないという選択をとるとすれば、取引所はその後信用を失うため、取引所を畳むときでしょう。取引所は従来型の金融機関と同じカテゴリーのものなのです。

もうひとつは規制です。コインチェックは金融庁の認可をまだ受けておりません。今回のクラッキングによりハードルが増したことは確かでしょう。集権的な取引所は規制に対する耐性が弱いのです。法的権力が法を利用することで、強制力を発動した際には一貫の終わりです。コインチェックの運命もまた金融庁の手のひらの上にあるのです。

集権型取引所はBitcoinが生ま​​れた理由と正反対の存在なのです。ビットコインは個人の「主権」を重視する立場から生まれており、暗号技術を独占し市民を監視しようとする政府に反抗する暗号学研究者のコミュニティから生まれました。詳しくはこちら。

ブロックチェーンのDNA、いい遺伝と悪い遺伝:松尾真一郎氏

中央集権型取引所の利点

公平を期して中央集権型取引所の利点にも触れましょう。手数料が安く、取引の確定が速いです。法定通貨の入出金が可能なので、法定通貨を握りしめて「賭場」に向かう心持ちの人にとっては格好の場所で有り続けるでしょう。

これに対し、分散型取引所のメリットととしては、秘密鍵を自身で管理できることと個人情報の提供が不要であることが重要です。ビットコインがなぜ衝撃的だったか。それは人々から知らず知らずのうちに失われていた金融の機会を、人々の手にすべて渡そうとするからです。

Via Financial Cryptography Conferrence 2017マウントゴックス事件のときも多くのユーザーが取引所にコインを置いたままにしていました。

DEXは規制への耐性も高いです。中国は本土で集中型取引所を禁止し、閉鎖させました。この結果、人々は微信(WeChat)を利用した相対取引に潜りました。しかしDEXならば、規制を対象となる取引所を中国の外に起きながら、ユーザーは取引が可能になるはずです(中国のインターネット監視局がブロックしない限りは…)。

同時に、通貨を交換したいときには自分自身のプライバシーを晒す必要が無いのです。買いたい人と売りたい人、仲介するプレイヤー、プロトコルによってそれは遂行されます。この仲介するプレイヤーがDEXの現状の制約です。

分散型取引所のデメリット

DEXはステークホルダーが増えるため手数料が増えてしまいます。そのインセンティブとして仲介者に手数料やスプレッドを提供します。そうなると、ビッドとアスク、取引の約定、決済を一手に管理する中央集権型取引所が大きな強みを持つことになります。

トレーディング用途では分散型取引所の速度とフィーがあまり楽しくありません。だからカウンターパーティーリスクを伴ってでも、ユーザーは中央集権型の取引所を利用することになります。

▼まとめ:

分散型取引所の利用拡大のためにはCryptoだけであらゆることを実現できることが前提だと考えられます。暗号通貨間の交換を想定していない、BitcoinマキシマリストやEthereumマキシマリストのような立場とは相容れない存在です。アトミックスワップ、ライトニングネットワーク上でのスワップなども競合する技術かもしれません。

一方、現状の課題を分散型取引所がクリアしていくのならば、今後はカウンターパーティリスクを恐れる大口保有者が、DEXでのトレードに移行していく可能性があります。今後もクラッキングや規制による取引所閉鎖が起きることもDEXに道を開くかもしれません。

人々がEthereumでdApp(分散型アプリケーション)を構築しているように、人々は分散型Exchangeプロトコルで分散型取引所を構築します。このインフラストラクチャとアーキテクチャに対する需要は、上述の事件のためにさらに高まるはずです。Ethereumのように、これらのものを構築するための最先端のプラットフォーム(0xproject等…)があります。

 

 


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Takushi Yoshida

起業家&デジタルビジネスアナリスト。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。ジャカルタで政治経済記者。APEC、ASEAN首脳会議でTPP、ASEAN+3などの地域経済統合をリサーチ。帰国後、米デジタルマーケティングメディアDIGIDAY[日本版]立上げ参画。2017年10月テックビジネス戦略メディアAxionを創業。

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